「歯並びが気になる部分があるけれど、矯正するほどではないかな?」と考えたことはないでしょうか。見た目を気にして矯正を始める方もいますが、矯正が必要な歯並びと、しなくてもいい歯並びがあります。
この記事では、矯正が不要な歯並びや、矯正の必要性の判断ポイントについて紹介します。
目次
歯列矯正しなくてもいい歯並び
症状が軽度な方は、歯列矯正が不要な場合もあります。一般的に歯列矯正しなくてもいい歯並びは、以下のとおりです。
- 軽度のすきっ歯
- 軽度の出っ歯
- 軽度の不正咬合
それぞれの特徴について紹介します。
軽度のすきっ歯
軽度のすきっ歯は、見た目など自分が気にならなければ、矯正治療をしなくても問題はありません。フランスでは、すきっ歯は幸運の象徴で、幸せになれるといわれています。モデルや女優でも、あえて矯正をしない方もいるほどです。
すきっ歯は、奥歯が噛み合っていれば、機能面でも問題はありません。ただし、滑舌が悪い場合は矯正治療もおすすめです。
すきっ歯には隙間があるため、話すときに空気が抜けてしまいます。サ行やタ行の発音が難しい場合がありますが、矯正治療で隙間が埋まると改善さされることがあります。
軽度のすきっ歯は、前歯にセラミックの被せ物をすることで隙間を埋められる場合もあります。
見た目や機能面が気にならなければ矯正は不要ですが、気になる方はセラミックを使用する方法もあるため、歯科医に相談することがおすすめです。
軽度の出っ歯
前歯が少し前に出ている程度の軽度の出っ歯は、矯正治療をしなくても問題ない場合があります。
軽度かどうかは、口を閉じたときの状態や、噛み合わせで判断します。矯正が必要かどうかわからない場合は、歯科医に判断してもらいましょう。
軽度の出っ歯は、自力で矯正できる可能性があります。具体例として、トレーニングやマウスピースの活用などがあります。
トレーニングの内容は、以下のとおりです。
- 舌を正しい位置に直す
- 口を閉じる
- 口呼吸を改善する
マウスピースを使用すると、歯の位置が整い、出っ歯の矯正が可能です。軽度の出っ歯の場合は、患者さん自身で矯正することも検討してください。
軽度の不正咬合
軽度の不正咬合(ふせいこうごう)は、嚙み合わせに問題がなければ矯正は不要です。不正咬合は、上下の歯の噛み合わせが合っていない状態のことです。軽度とは、歯が少し傾く程度をいいます。
軽度の不正咬合は、噛み合わせに問題がなければ、機能面に問題はありません。
しかし、硬いものが噛み切れない場合は、矯正を検討してもよいかもしれません。見た目が気にならず、機能面でも問題がなければ矯正は不要です。
歯列矯正が必要なレベルの歯並び
歯並びが整っているように見えても、矯正が必要な場合もあります。歯列矯正が必要な歯並びについて、詳しく紹介します。
八重歯(叢生)
八重歯は一般的に矯正が必要な歯並びです。八重歯とは、犬歯がほかの歯と重なり合い、外に出ている状態を指します。
犬歯は食べ物をすり潰す重要な役割を果たしていますが、八重歯は犬歯が噛み合わないため、前歯や奥歯に過度の負担がかかることもあります。
また、歯が重なり合うことで歯磨きがしにくく、磨き残しが増えるため、見た目が気にならなくても、機能面から八重歯矯正が必要な歯並びです。
出っ歯
出っ歯は上の前歯が前方に突き出ている状態であるため、矯正することがおすすめです。
出っ歯は前歯が噛み合っていない状態ですが、矯正によって咀嚼機能を改善できます。
咀嚼機能が改善すると、しっかり噛んで食事ができるようになり、胃腸への負担も減ります。機能的な面から、出っ歯は矯正が必要な歯並びです。
受け口
受け口は奥歯を噛んだときに、下の前歯の方が上の前歯より出ています。
嚙み合わせや発音に影響が出るため、受け口の方は矯正がおすすめです。顎の位置が不適切なため、舌が動かしにくく「さ行」や「ざ」などの発音が難しい場合があります。
矯正することで顎や歯並びが正しい位置になり、発音が改善されます。下顎が出ていたり、発音しにくい言葉があったりする場合は、医師にご相談ください。
過蓋咬合
過蓋咬合(かがいこうごう)は噛み合わせが深い状態で、矯正が必要な歯並びです。ディープバイトとも呼ばれます。
過蓋咬合は、顎関節に負担がかかるため、顎関節症のリスクがあります。負担が大きい分、歯の寿命が短くなる可能性もあります。機能面から、過蓋咬合は矯正が推奨される歯並びです。
交叉咬合
交叉咬合(こうさこうごう)は歯が互い違いに噛み合う状態で、矯正がおすすめです。クロスバイトとも呼ばれます。
たとえ1本でも歯が交叉していると、歯に負担がかかります。下顎がずれて成長する場合があり、顎の筋肉に負担がかかるため、肩こりや頭痛の原因となる可能性も。
治療が遅れると顎関節症を発症したり、手術が必要になったりします。ワイヤーやマウスピース矯正が可能な場合もあるため、歯が互い違いになっている方はご相談ください。
開咬
開咬は奥歯を噛んでも前歯が閉じない状態で、矯正が必要な歯並びです。オープンバイトとも呼ばれます。開咬は前歯が嚙みあっていないため、食事のときに前歯で噛み切れません。
矯正によって噛み合わせが整うと、咀嚼機能が改善し、胃腸への負担も軽減されます。開咬は見た目は気にならない場合もありますが、前歯で噛めない方はご相談ください。
歯列矯正のメリット
歯列矯正のメリットは審美面だけでなく、機能面の改善もあります。歯列矯正で得られるメリットについて、詳しく紹介します。
審美性の向上
歯列矯正のメリットは、歯並びが左右対称になり、審美性が向上することです。歯並びだけではなく、横顔も美しくなります。
矯正によってEラインが整ったり、口ゴボが治ったりすると、顔の印象がよくなります。見た目のコンプレックスが解消されると、自信がつくこともメリットです。
咀嚼機能の改善
歯並びや噛み合わせが整うと、咀嚼機能が改善します。咀嚼機能が改善するメリットは、以下のとおりです。
- 胃腸の負担が減る
- 歯の寿命が延びる
- 虫歯や口臭予防になる
噛み合わせが整うとしっかり噛めるようになり、胃腸への負担が減ります。
また、噛むときにバランスよく負荷がかかるようになるため、それぞれの歯の寿命が延びることも。咀嚼機能が改善すると唾液の分泌量が増え、虫歯や口臭を防ぐメリットがあります。
見た目だけではなく、咀嚼機能が改善する点が矯正のメリットです。
発音の改善
歯列矯正すると発音が改善される点もメリットです。歯並びが悪いと舌が動きにくいため、発音しにくい場合もあります。
矯正によって歯が正しい位置に並ぶと、舌や唇が動きやすくなり、発音が改善されます。
例えば、受け口の方は「さ行」の発音が難しいことがありますが、矯正治療を受けることで、問題が解消されるでしょう。
発音や滑舌に悩みがある方は、矯正治療がおすすめです。
歯の健康促進
矯正治療は歯の健康促進に役立ちます。歯並びが悪いと歯ブラシが当たりにくくなり、プラークや歯石がたまりやすくなります。
歯並びが整うと、口腔ケアがしやすくなります。日ごろから丁寧にケアができると、虫歯や歯周病のリスクが減り、歯の寿命が延びる可能性もあります。
また、噛み合わせが整うことで、1本の歯にかかる負担も減ります。ケアがしやすい点と、歯の負担が減ることから、歯の健康促進につながります。
歯列矯正のデメリット
歯列矯正のデメリットは、治療期間の長さや費用面です。歯列矯正を検討するうえで、知っておくべきデメリットについて詳しく紹介します。
治療期間が長い
歯列矯正は治療期間が長いことがデメリットです。治療方法や症例によって異なりますが、平均して1~3年程の治療期間がかかります。
治療期間が長くなる理由は、歯の移動に時間がかかるためです。歯は1ヶ月で1mmほどのペースでゆっくりと動きます。
無理に負荷をかけると歯茎が下がったり、歯根が吸収されたりするリスクがあるため、おすすめできません。
また、歯が並んだ後も後戻りを防ぐための保定期間があり、リテーナーを2年ほど装着します。このように治療期間が長くなることが矯正治療のデメリットです。
経済的な負担がある
矯正治療は自費診療のため、保険が使用できません。そのため、料金が高額になることがデメリットです。
矯正治療の種類別の平均的な料金は、以下のとおりです。
- 表側矯正:70~100万円
- 裏側矯正:70~130万円
- マウスピース矯正:80~120万円
ほかにも、矯正期間中は1ヶ月に1回程度、メンテナンスのために通院します。カウンセリングや、治療開始時の精密検査にも費用が必要です。
矯正治療は費用がかかるため、総合的に矯正の必要性を検討しましょう。
日常生活への影響
矯正するデメリットは、日常生活に影響が出ることです。特にワイヤー矯正の場合は、装置に慣れるまで違和感があるかもしれません。
装置の見た目が気になったり、滑舌が悪くなったりします。また、処置後は痛みが出て、食事量が減ってしまう場合もあります。
滑舌や痛みは次第に慣れていきますが、日常生活に影響が出てしまう点がデメリットです。
仕事やプライベートで大切な予定があるときは、治療スケジュールを調整できます。医師と相談しながら、無理のないスケジュールで治療を進めましょう。
矯正しなくてもいい歯並びか判断するポイント
矯正の必要性を判断するためには、医師の診断が必要です。しかし、矯正歯科に行く前に自分で判断したい場合もあるかもしれません。
ここでは、矯正しなくてもいいか判断するポイントについて、紹介します。
歯磨きが難しい部分がないか
歯磨きが難しくなければ、矯正治療は不要な場合も。歪みや凸凹が軽度の場合は、歯磨きに困らない方もいます。
しっかりとケアができて口腔内の環境がよければ、虫歯や口臭などのリスクも少ないです。歯磨きが難しい部分がなければ、矯正治療は不要な場合があります。
虫歯や歯周病のリスクが高まっていないか
見た目だけではなく、虫歯や歯周病のリスクも矯正治療が必要かどうかの判断ポイントです。歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくいため、虫歯や歯周病になりやすいです。
歯が重なり合っていると丁寧に歯磨きをしても、磨き残しが増えてしまいます。矯正によって歯並びがよくなると、ケアしやすくなります。
虫歯や歯周病のリスクが高いかどうかは、矯正治療を考える際の判断基準の一つです。
顎関節に負担がかかっていないか
歯並びが整っていても、顎への負担があると矯正治療が必要な場合があります。噛み合わせが合っていなければ、顎関節に負担がかかり、顎関節症などのリスクが高まってしまうのです。
歯列矯正によって歯並びが整うと、噛む力が分散されるため、顎間接への負担が減ります。
結果、顎関節症の症状が改善されることがあります。顎関節に不安を抱いている方は、医師に相談してください。
発音に影響がないか
発音に影響があるかどうかも、矯正治療を検討するポイントです。「さ行」や「た行」の発音が難しい場合は、歯並びに問題があるかもしれません。
発音が悪い理由は、隙間があったり、舌が動かしにくかったりする可能性があります。歯並びがよいように見えても、発音しにくければ矯正の適応になることがあります。
矯正治療をすると舌の位置が正常になるため、発音が矯正されることがあります。発音に悩んでいる方は、医師に相談してみてください。
見た目のコンプレックスがないか
矯正治療を検討するポイントとして、見た目のコンプレックスがあります。
人から見て歯並びが気にならない程度でも、自分は気になる場合もあります。見た目にコンプレックスがある方は矯正治療がおすすめです。
見た目が気になると、自信を失うことがあります。笑顔がぎこちなくなったり、人前が苦手になったりする可能性も。
矯正治療によって歯並びが改善されると、コンプレックスが解消され、自信を持てるようになります。もし、見た目にコンプレックスがあれば、矯正治療も検討してみてください。
歯列矯正に関するよくある質問
歯列矯正に関するよくある質問をまとめました。矯正が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
矯正中にブサイクになる原因は何ですか?
矯正中にブサイクになったと感じる方もいます。理由として、矯正によって顔の印象が変わることが挙げられます。
ブサイクになったと感じる主な原因は、以下のとおりです。
- 口元が下がりすぎた
- 頬がコケた
- 出っ歯になった
歯列矯正で不要な歯を抜いた場合は、口元が下がりすぎて、Eラインのバランスが崩れることがあります。
頬がコケるのは、矯正中の痛みで食事量が減った可能性があります。
出っ歯は抜歯が必要な症例なのにもかかわらず、非抜歯で無理に治療した場合になることがあります。
対策として、抜歯は必要に応じて実施しましょう。食事量は矯正装置に慣れると元に戻ります。歯並びだけではなく、顔全体の印象も含めて治療計画を立てることが大切です。
歯列矯正をおすすめしないケースはある?
歯列矯正をおすすめしないのは、定期的にクリニックへ通院できないケースです。矯正の治療期間は個人差がありますが、1~3年ぐらいかかります。
通院できない場合は、治療が予定通りに進まず、必要な処置が行えません。入学や就職、転居などのライフイベントがない時期に矯正を始めましょう。
予定外のイベントが発生した場合は、状況に合わせて治療スケジュールを組むこともできます。治療中に気になることがあれば、お気軽に医師に相談してください。
まとめ
歯並びによって、矯正しなくても問題がない方もいます。矯正は時間も費用もかかるため、始めるときは治療への意欲も大切です。
軽度のすきっ歯や出っ歯、不正咬合などの場合は矯正は不要です。一方で、見た目にコンプレックスがある方や、噛み合わせが気になる場合は矯正治療を検討しましょう。
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