こんにちは。兵庫県宝塚市にある医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科です。
虫歯予防のために、フッ素塗布を勧められることもあるでしょう。「フッ素は本当に必要なの?」「フッ素は安全なの?」などの疑問を抱える方もいるのではないでしょうか。
今回は、フッ素塗布の効果や安全性、処置の流れなどを解説します。口腔内の健康のためにフッ素塗布を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
フッ素塗布とは?
フッ素塗布とは、歯科医院で行われる処置のことで、9,000ppmという高濃度のフッ素を歯に塗布することです。歯科医師や歯科衛生士など、歯に関する資格をもった人が実施します。
フッ素とはミネラルの一種で、正しくはリン酸酸性フッ化ナトリウムとフッ化ナトリウムを主とするフッ化物です。骨や歯の石灰化を調整する働きがあります。
歯科医院では、主に虫歯予防と歯の強化の目的でフッ素塗布を行います。特に、歯磨きをご自身でうまくできない乳幼児の虫歯予防には高い効果を発揮するでしょう。
虫歯予防・歯の質の強化のために、混合歯列期の児童や唾液の量が低下している高齢者に行うことも多いです。フッ素塗布は「小さなこどもに行うもの」というイメージがあるかもしれませんが、幅広い年齢の方に行われている処置なのです。
フッ素塗布の効果
フッ素塗布の効果をご紹介します。
- 石灰化を促進する
- 歯を強化する
- ミュータンス菌の働きを抑制する
フッ素は、溶け始めた歯の石灰化を促進します。食事をしているときも口腔内が酸性になり歯が溶け出しますが、唾液が作用して再石灰化が促され、もとの状態に戻るのが正常です。フッ素の成分は再石灰化を促進するので、虫歯を予防できるのです。
再石灰化の際は、フッ素の成分が歯のエナメル質と結びつきます。フルオロアパタイトという強い構造を作り出し、虫歯に強い歯に強化するのです。
加えて、フッ素は虫歯菌であるミュータンス菌の作り出す酸を抑制します。特に、歯科医院で行うフッ素塗布は、歯を強くする効果が高いのです。
フッ素の効果を高めるには、歯科医院で行うフッ素塗布に加え、自宅でもフッ素を取り入れるとよいでしょう。フッ素入りの洗口液や歯磨き剤を使用してください。
低濃度のフッ素は、食事の際に繰り返される再石灰化にアプローチします。組み合わせることで、さらに虫歯に強い口腔を作り出せるでしょう。
歯科医院で高濃度のフッ素を塗布していても、洗口液や歯磨き剤に含まれるフッ素濃度は低いため、毎日使用しても問題ありません。洗口液を使用する方法には、毎日法や週1回法などがあります。適したフッ素濃度が異なるので、使用方法を守って使いましょう。
フッ素塗布後の注意点
フッ素塗布の効果を高めるために、フッ素塗布後30分は飲食やうがいをしないようにしてください。唾液が気になる場合は、吐き出しましょう。
一度に大量のフッ素を飲み込むと、気持ち悪くなる可能性があります。フッ素中毒になり、嘔吐や下痢の症状が出る場合もあるでしょう。
胃洗浄が必要になるケースもあるので、具合が悪くなったときには病院を受診してください。
フッ素塗布の安全性
「フッ素は本当に安全なの?」「危険じゃないの?」と、不安に思う方もいるでしょう。フッ素自体は、危険なものではありません。
フッ素はミネラルの一種で、お茶や魚など日常的に口にする食べ物にも含まれています。WHO(世界保健機関)やFDI(国際歯科連盟)でも、フッ素の使用を推奨しているのです。日本での使用が認められているのはもちろん、世界でも120以上の国で使用されています。しかし、特定の状況でフッ素中毒が起きる可能性もあります。フッ素中毒には2つのタイプがあります。
どちらも適量以上のフッ素を摂取したときに起きるので、指示どおりに使用すれば問題ありません。
慢性フッ素中毒
洗口液や歯磨き剤、フッ素入りの水など、低濃度のフッ素で起こりやすいです。
適量の2〜3倍の濃度のフッ素を長期間摂取し続けることで引き起こされます。骨硬化症や、斑状歯(はんじょうし)になることがあります。
急性フッ素中毒
一度に大量のフッ素を摂取したときに起きる中毒です。吐き気、嘔吐、下痢などの症状が現れます。急性フッ素中毒になる目安は、体重1kgに対して2mgのフッ素量とされています。
フッ素塗布の流れ
フッ素塗布に難しい作業はなく、痛みも伴いません。小さなお子さまでも「歯医者は怖い」と感じることなく受けられるでしょう。
フッ素塗布の流れは、次のとおりです。
①歯のクリーニング
フッ素が浸透しやすいように、専用の機械を使って細かい部分の汚れを除去します。
②乾燥
クリーニング後、歯を乾燥させます。唾液を吸収するために、コットンなどを使って歯の周囲を乾燥させるのが一般的です。
③フッ素塗布
綿球塗布法の場合、綿球などを使ってフッ素を塗布し、5分待ちます。トレー法の場合は、フッ素を含ませたトレーを口に入れて4分待ちます。
④終了
綿球塗布法の場合、塗布したフッ素を拭き取るのが一般的です。トレー法の場合はトレーを外します。
フッ素塗布はどれくらいの頻度で受けると効果的?
フッ素塗布は、1回で終了するものではありません。推奨されている頻度は、3か月〜半年に一度です。
塗布する頻度は、口内の状態によって異なります。例えば、初期虫歯がある場合や、歯が生え替わる時期の場合、頻度が多くなるでしょう。歯科医師がそれぞれの口腔内の状況を見て判断するので、歯科医師の指示に従って受けてください。
フッ素塗布の費用
虫歯予防のためのフッ素塗布は、予防処置であり治療ではありません。そのため、保険適用外となります。
フッ素塗布の費用設定は、歯科医院によって異なります。相場は、500〜3,000円です。
自宅での歯磨きでもフッ素を取り入れよう!
上述したとおり、歯科医院で行われるフッ素塗布に加え、自宅でフッ素を取り入れることでより効果的にアプローチできます。具体的には、フッ素入りの歯磨き剤を利用する、歯磨き後に低濃度の歯磨きジェルを塗る、フッ素入りのうがい薬を使うなど、日常にフッ素を取り入れましょう。
患者様の声
いつも歯のクリーニングでお世話になっています。 痛みがなければ歯医者は行く必要がないと思っていましたが、治療時に歯科医師の方から予防やメンテナンスが最も重要とお聞きし、治療後も通うことにしました。クリーニングも痛みが伴う印象があったのですが、衛生士さんがとてもうまかったのか痛みもなく気持ちいいくらいでした。何よりずっと話しかけてくれたので安心しました!
こどもが幼稚園の頃からお世話になり、毎回とても丁寧に診察していただいています。歯科医院を嫌がっていた娘も嫌がらず通うようになりました。こどもが自分で歯ブラシできるように指導していただくなど、とても役に立っています。予約も取りやすく、通いやすいです。
まとめ
フッ素塗布は、虫歯予防の目的で使用され、歯の強化、虫歯菌の抑制、歯の再石灰化などの効果があります。特に歯科医院で実施されるフッ素塗布では、高濃度のフッ素を使用しています。乳児期、混合歯列期の虫歯予防や初期虫歯の治療としても向いているでしょう。
低濃度のフッ素を自宅で併用することで、より効果的に歯の健康にアプローチできます。フッ素中毒など心配に思う方もいるかもしれませんが、適量を守って使用すれば安全です。歯科医師、歯科衛生士と一緒に、口腔内の健康を守りましょう。
虫歯予防でフッ素塗布を検討されている方は、兵庫県宝塚市にある医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科にご相談ください。
奥村亮司