歯科矯正を始める前はきれいな歯並びになることをイメージしていたものの、希望していた結果と違うと感じる人もいます。
この記事では、矯正に不満を感じる理由や、矯正が失敗に終わる理由について紹介します。矯正は長い時間がかかり、治療費も高額です。
矯正でのトラブルが発生しないための事前の対策と、失敗した場合の対処方法についても解説します。
矯正後の仕上がりに不満を感じる理由
矯正が終わったものの、仕上がりに不満を感じる場合があります。不満に感じる主な点は、以下のとおりです。
- イメージしていた歯並びと異なる
- 容姿が悪化した
- 治療後の噛み合わせに違和感がある
- 後戻りが起きた
- 顎関節症になった
- 痛みや不快感が続いている
イメージしていた歯並びと異なる
矯正治療後に、出っ歯になるケースがあります。出っ歯になる理由は、抜歯が必要な症例にもかかわらず、非抜歯で治療したことが原因です。歯が並ぶスペースがないため、前歯が飛び出てしまい、出っ歯になります。
このように矯正治療が完了したにもかかわらず、完成した歯並びがイメージと異なる場合があります。
主な原因は、患者さんと歯科医師で完成イメージのすり合わせができていなかったことです。矯正治療の開始前に、矯正終了時のイメージを共有しておく必要があります。
容姿が悪化した
矯正治療後は、容姿が悪化したと感じる場合があります。容姿の悪化の例は、以下のとおりです。
- ほうれい線が濃くなる
- Eラインが整っていない
- 人中(じんちゅう)が伸びる
- 正中(せいちゅう)がずれている
ほうれい線が濃くなる原因は、矯正治療そのものではありません。
しかし、矯正治療によって、歯の位置が奥に移動すると、歯が正しい位置になったことで、引っ張られていた皮膚がもとの位置に戻り、ほうれい線が濃くなったように感じる人がいます。
Eラインは、横顔の美しさを表現する際の指標です。矯正によって出っ歯になった場合に、Eラインが乱れることがあります。
人中は、鼻と唇の間の溝のことです。本来抜歯が必要な症例にもかかわらず、非抜歯で矯正したときに人中が長くなります。歯が並ぶスペースが十分にないため、出っ歯の状態になり、口を閉じる際に唇が張ることが原因です。
正中線は、上下の前歯の真ん中のラインのことです。歯列矯正で正中がずれる原因として、左右の歯の大きさが異なる場合や、顎の位置がずれている場合があります。
矯正によって正中を整えても、後戻りでずれることもあるため、注意が必要です。
治療後の噛み合わせに違和感がある
矯正中は歯を移動させるため、一時的に嚙み合わせが合わない場合があります。しかし、治療終了後も違和感があれば、早めに医師に相談してください。
嚙み合わせが合わない状態が続くと、食事や会話に支障をきたす場合があります。頭痛などの引き金になる場合もあるため、早めに相談しましょう。
後戻りが起きた
後戻りとは、矯正装置を外した後に、歯並びがもとの状態に戻ってしまうことです。
矯正が終了した時点では歯並びが整っていても、後戻りを防止するためにリテーナーという保定装置の装着が必要です。
リテーナーは装着時間が定められており、指定の時間を守らなければ後戻りが発生する可能性があります。使用期間は1〜3年程度が目安です。
後戻りを防止するために、リテーナーの装着時間と期間を守りましょう。
顎関節症になった
矯正治療によって顎関節症になることは、ほとんどありません。顎関節症の原因はさまざまな要因がありますが、歯ぎしりや食いしばり、ストレスなども一因です。
歯ぎしりなどの習慣が以前からある場合は、顎関節症の症状が出た際に、矯正治療によって生じたと感じる人もいます。
参考:顎関節症|歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020
痛みや不快感が続いている
矯正治療中は歯を移動させるため、痛みや不快感が出ることが一般的です。
ほとんどの場合は一時的なものですが、痛みや違和感を放置すると悪化し、治療後も継続する事例があります。治療中に痛みが出た場合は、すぐに医師に相談することが大切です。
歯科矯正が失敗してしまう主な原因
歯科矯正を終了したものの、失敗したと後悔する人もいます。矯正が失敗する原因について、詳しく解説します。
虫歯・歯周病
虫歯や歯周病になると治療を優先させるため、矯正治療の中断が必要です。中断期間中に後戻りする場合があり、当初の予定よりも治療期間が延びる可能性があります。
ワイヤー矯正の場合は、ブラケットの周りなどに磨き残しが増えます。矯正中の虫歯や歯周病を防ぐために、より丁寧に歯磨きをしましょう。
検査やシミュレーションの不足
矯正開始前の検査やシミュレーションが不足していると、無理な矯正計画になる場合があります。予定通りに矯正が進まなければ、治療期間が伸びたり、追加費用が発生したりする点がデメリットです。
現在は、3Dデジタル矯正システムを導入している施設があります。3Dデジタル矯正システムを用いると、3Dの立体データをもとに治療のシミュレーションが可能です。
具体的にシミュレーションすることで、矯正開始前に医師と治療のイメージを共有できます。
不必要な抜歯が行われた
矯正治療では、抜歯は必ずしも必要ではありません。歯を並べるスペースが十分にある場合は不要です。不必要な抜歯が行われた場合は、歯が下がりすぎて、顔の印象が寂しくなります。
抜歯をしなくても、歯の端を削ったり、奥歯を移動させたりすることでもスペースを確保できます。抜歯が必要かどうかは症例ごとに異なるため、自分に合った治療方法を検討してください。
リテーナー・矯正装置の装着不足
矯正治療が終了して装置を外した後も、保定期間という後戻りを予防する期間が必要です。保定期間は、リテーナーを装着します。リテーナーの装着時間が守られていない場合は、後戻りが起こるため、注意が必要です。
インビザラインなどのマウスピースタイプの矯正方法は、20時間以上の装着が必要です。装着時間を守っていない場合は、矯正治療が予定通りに進まない可能性があります。
矯正後の仕上がりに不満を感じないためにできることは?
矯正を成功させるためには、矯正開始前の準備と、治療中の注意点を守ることが大切です。
満足した仕上がりにするためのポイントについて、詳しく解説します。
事前に歯科矯正の知識を身につける
矯正治療を始める際は、カウンセリングの前に矯正治療の知識を身につけることがおすすめです。矯正歯科のホームページを確認することで、クリニックごとの治療方針や、治療のこだわりなどがわかります。
矯正に関する事前知識があれば、カウンセリング時に疑問点を解消できます。歯科医師との治療のイメージ共有のためにも、事前に知識を身につけましょう。
自分に最適な治療法を選択する
矯正治療は、複数の治療方法があります。代表的な治療方法は、以下のとおりです。
- 表側矯正
- 裏側矯正
- マウスピース矯正
歯並びや骨格によって、適切な矯正方法は異なります。見た目だけではなく、嚙み合わせなどの改善したいポイントに合わせて、自分に合った治療方法を選択しましょう。
治療経験や健康状態を正確に伝える
初診時やカウンセリングの際に、過去の治療経験やアレルギーなどの確認があります。診断に必要なため、うそをつかず正確に伝えましょう。過去に矯正治療の経験がある場合は、治療方法や、治療期間を伝えてください。
過去の治療歴や現在の口腔の状態を参考にして、歯科医師は治療計画を立てます。初めの情報が誤っていると、途中で治療計画の変更が必要になる場合があります。
治療方法が変更になると治療費の総額が高くなり、矯正期間が延びる可能性があるため注意してください。情報は正確に伝えましょう。
治療開始前にゴールのイメージを共有する
矯正治療を開始する際は、事前に自分の治療のゴールを明確にしましょう。歯並びのどの部分が気になるのか、噛み合わせの問題点はどこなのか、どのように治したいかをイメージすることが大切です。
決めたゴールは歯科医師とも共有しましょう。具体的なゴールのイメージを共有することで、治療中の目的のずれが少なくなります。
口元や横顔など、見た目のイメージも大切です。どのような歯並びを目指しているかによって、治療方法が異なる場合もあります。
矯正終了後に後悔したり、やり直しが発生したりしないように、事前に医師とイメージを共有することが大切です。
治療中の定期的なチェックを怠らない
矯正治療中は、決められたスケジュールで矯正歯科に通いましょう。通院のタイミングが空いたり、途中で受診をやめたりした場合は、当初の予定通りに治療が進みません。
矯正治療は担当の歯科医師との信頼関係も大切です。矯正治療の失敗を防ぐためにも、定期的にチェックに通いましょう。
担当医とのコミュニケーションを密にする
担当の医師とのコミュニケーションを大切にしましょう。不安な点や疑問点があれば、医師に相談してください。患者さんが不安に感じていても、何も言わなければ医師は気づかない場合もあります。
患者さん自身が不安や不満を率直に伝えると、歯科医師は問題点を理解し、適切に対応してくれます。
後からやり直すのは難しい場合もあるため、遠慮せずにコミュニケーションを取りましょう。
再矯正における代表的なリスクは?
矯正治療に失敗した場合は、再矯正が必要な場合があります。再矯正における代表的なリスクについて、詳しく解説します。
歯根吸収
歯根吸収とは、歯の根っこが何らかの原因で吸収されることです。歯根吸収は、矯正の際に過度な負荷がかかった場合にまれに発生します。
再矯正の場合は、さらに歯に負担がかかるため、歯根吸収のリスクがあります。
歯肉退縮
歯肉退縮(しにくたいしゅく)は、歯茎が退縮してしまう現象のことです。本来歯根は歯茎に覆われていますが、露出した状態になります。歯が長く見えるため、見た目が悪くなる点もデメリットです。
歯肉退縮は、矯正の際に歯の移動距離が大きいときに起こります。歯肉退縮が起こると、ブラックトライアングルと呼ばれる歯と歯茎の間の隙間ができます。歯肉退縮は、再矯正におけるリスクの一つです。
矯正の仕上がりに不満がある場合の解決策
矯正の仕上がりに不満がある場合は、現在の担当医に相談する方法と、セカンドオピニオンを求める方法があります。それぞれの方法について、詳しく解説します。
再治療を担当医に相談する
矯正の仕上がりに不満がある場合は、まず担当の歯科医師に相談しましょう。担当の歯科医師とコミュニケーションを取ることが大切です。
患者さんが不満に感じていることを、歯科医師は気づいていないかもしれません。不満な点を伝えることで、解決策を模索できます。
セカンドオピニオンを求める
矯正の仕上がりが不満な場合は、セカンドオピニオンを検討してください。
セカンドオピニオンは、医師の診断や治療方針について、別の医師から意見を求めることです。セカンドオピニオンのメリットは、以下のとおりです。
- 治療の選択肢が広がる
- 不安が解消する
- 現在の治療計画の検証ができる
担当医とセカンドオピニオンの意見が同じ場合は、現在の治療計画での結果に納得できます。
別の医師からの視点を取り入れることで、新たな治療法の選択肢が見つかる場合もあります。矯正の仕上がりに不満がある場合は、セカンドオピニオンを検討してください。
矯正の仕上がりに関するよくある質問
矯正の仕上がりに関するよくある質問をまとめました。不満や不安がある人は、参考にしてください。
矯正中にブサイクになる原因は何ですか?
矯正したことで、ブサイクになったと感じる場合があります。ほうれい線や出っ歯だけではなく、矯正によって頬がこける人もいます。
頬がこけるのは、矯正の痛みや違和感によって、食事の回数が減ることも原因の一つです。食事量が原因の場合は、矯正装置を外すと改善する場合があります。
矯正後の不満の伝え方はありますか?
矯正後の仕上がりに不満がある場合は、担当の医師に率直に伝えることが大切です。医師に伝えなければ、患者さんが不満に感じていることが医師に伝わらないためです。伝える際は、不満点を具体的に伝えましょう。明確に伝えると、医師と一緒に対応策を考えられます。
矯正で隙間が埋まらないまま治療が終了ってある?
隙間が埋まらないまま、矯正が終了する場合もあります。抜歯などで空いたスペースは、治療の経過とともに次第に埋まることが一般的です。
しかし、矯正装置を適切に使用していない場合は、計画通りに治療が進まず、隙間が埋まらないままになる場合があります。指示された装着時間は、適切に守りましょう。
まとめ
矯正すれば歯並びが整うと考えていたものの、イメージどおりに仕上がらない場合はあります。
見た目だけではなく、噛み合わせなどの機能面の改善も大切です。矯正を成功させるためには、事前の準備や矯正中のメンテナンスが必要です。
治療中や治療後に不満がある場合は、担当の医師に相談しましょう。相談することで、一緒に解決方法を考えてもらえます。事前に対策し、満足した治療結果を得ましょう。
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